マーケティングコラム

2019年04月17日

マーケティングにおける「バレルゾーン」?

マーケティングにおける「バレルゾーン」?

先日、ついにイチロー選手が引退をむかえることになりました。会見の後半で、言葉にするのを一瞬ためらいながらもMLB(メジャーリーグベースボール)の現状に対する不満を口にしたことにとてもドキッとさせられました。かなり印象的だったので、あのイチロー選手の言葉がいまだに頭に残っているという人も多いのではないかと思います。

フライボール革命、バレルゾーン

イチロー選手は、いわゆる「フライボール革命、バレルゾーン」に代表される、現代のMLBの極端なデータ至上主義とでも言うような在り方を嘆いたと言われています。はじめてお聞きになった方のために、簡単に解説します。

野球に「セイバーメトリクス」という統計的に分析する手法が積極的に採り入れられるようになり大分経ちます。たとえばその一つに「実は内野ゴロは外野フライよりも安打率が低い」という分析結果があります。分析精度はさらに上がって、「どこにどんな打球が飛んでくる確率が高いのか」が得られるようになり、打者に合わせて極端な守備シフトがとられるようになりました。その結果、さらにゴロによる安打が生まれにくくなりました。一方、データにより「158キロ以上の打球速度かつ30度前後の角度で打つと、かなりの高確率で安打できる」といった解が導き出されました。この「打球速度と打球角度によって得られる範囲」のことを「バレルゾーン」と言うそうです。この解が得られた結果、ゴロではなく、スイングスピードを上げ、アッパー気味のスイングをする選手が増えたという訳です。ちなみに、このフライを打つことを推奨する打撃理論が「フライボール革命」です。

これは一例ですが、このような、はじき出された解に全体が倣っていき、画一的な方向に向かってしまう状況を「頭を使わない野球」、また「野球が面白くなくなっている」とイチロー選手は嘆いたのだと言われている訳です。

そんなイチロー選手の言葉を聞きながら、ふと、データの重要性が叫ばれているマーケティングにおいてはどうなのだろうかと思いました。

体験のコモディティ化

つまり、AIも含めマーケティングにおける分析精度が上がり、マーケティングの領域でも「バレルゾーン」のようなことが提唱されるようになったりするのだろうか、と。たとえば、「ユーザーがこういうアクションをしてきたら、こういうタイミングでこう返すのが正解です」みたいなセオリー化がなされ、それが最も効果的だからと皆がそれに倣うとしたら、どうなのでしょうか。

[設問]ベンダーからの専門的サポートが必要だと感じる項目をお選びください

マーケティングにおいて「顧客体験」の重要性が言われています。体験を体験たらしめるには、それが「特別」だと感じさせることが重要です。ところが、仮に「体験の正解」が導き出され、もし皆がそれに倣ったらどうでしょうか?相対的にその体験の価値が下がる訳ですから、当然特別ではなくなります。体験のコモディティ化とでも言いましょうか。 大量のデータとテクノロジーがもたらす「高い正解率」とは、一方ではそういった側面を持っているものなのかもしれません。

とはいえ、現在においても新しいテクノロジーやノウハウの導入には企業差があり、それがある程度普及した時点では、さらに先んじて新たなテクノロジーを導入する企業が生まれ、条件はなかなかきれいな横並びということにはならないでしょうけれども。しかし、差別化を狙う新しい取り組みは思っているよりも「賞味期限」が短いかもしれませんし、もしかしたら機械がはじき出す答えを無条件に受け入れて良いというような状況にはなかなかならないのかもしれません。そうした可能性も踏まえたときに、自分たちのマーケティングの将来像はどうあるべきなのでしょうか。また、「選手」である現場のマーケターはそのような状況で自らの価値をどのように位置付けるべきなのでしょうか。

「現代の野球」を観戦しながら、そんなことをあれやこれやと考えてみるのも有意義かもしれません。

北村 伊弘
国内トップシェアのメール配信サービス「MailPublisher」を企画、またチーターデジタル株式会社のマーケティング責任者
北村 伊弘

※本記事の内容は公開当時のものであり、現在と内容が異なる場合があります。

2018 Q4 EMAIL & MOBILE BENCHMARK REPORT
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