今回は、メールマーケティング新任担当者の方に向けた、メルマガの構造についてのお話です。一口にメルマガといっても、その目的や用途によって内容はさまざまです。けれど、基本構造は大きく変わりません。
まずはメルマガの構造をみてみましょう。
メルマガは、「Fromアドレス」、「Reply-to」、「件名」、「ヘッダーエリア」、「コンテンツエリア」、「フッターエリア」の大きく6つに分けて考えることができます。
それぞれの役割を以下の表にまとめました。
Fromアドレス (差出人メールアドレス) |
差出人の欄に表示される名前。差出人メールアドレスとも呼ぶ。通常のメール配信システムの場合は、複数のFromアドレス名を登録し、利用することができる。 |
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Reply-to (返信先メールアドレス) |
メールの返信先を、Fromアドレスとは異なるアドレスを指定することができる。例えばFromアドレスは営業部を名義とし、Reply-toはサポートセンターを指定するなど。 |
件名 | メールを開封する前に、どんな内容が書かれているかを事前に知らせるためのもの。ここの表現によって開封率に差が出てくる。メーラーやユーザーの設定によって、デフォルトで表示される文字数が異なる。 |
ヘッダーエリア | メールを開封後、最初にユーザーの目にとまるエリア。テキストメールであれば通常はメルマガのタイトルやキャッチーなコピーを入れることが多い。HTMLメールの場合は、タイトルに加えてブランドロゴなどを配置する。独自の世界観を出すように試行錯誤している企業が多い。 |
コンテンツエリア | メルマガの中身。通常はWebサイトなどへリンクさせるための仕掛けを重視する。例えばサマーセールなどのキャンペーン情報や、新着商品・人気商品などの訴求、クーポンコードの提示など、書く配信ごとにさまざまなコンテンツを用意して、クリックとコンバージョンを稼ぐことが求められる。当然、メールのジャンルによっては、明細情報や会員登録完了のお知らせなど、購読させることを目的としても良い。 |
フッターエリア | メールの最後に署名のような形で掲載するエリア。通常は発行した企業名や、問い合わせ先、あるいは配信停止の案内など、大切な情報だけれどもコンテンツ内容と直接関係ないものを配置することが多い。 |
次にそれぞれのポイントをまとめます。
Fromアドレス(差出人メールアドレス)
@マークのついたメールアドレスそのままでは、誰から来たメールなのかパッと見て分かりづらいので、任意の名称に変えるほうが良いでしょう。例えば「XXXXX@cheetahdigital.com」というメールアドレスを、「チーターデジタル株式会社」や「チーターデジタル吉澤」などに設定することで、差出人が一目で分かりやすくなります。
一見、見落としがちな項目ではありますが、どこからのメールなのか、身元を明らかにすることはとても大切です。特に、迷惑メールではFromアドレスをメールアドレスのまま送られることが多いので、ユーザーの誤解を招かないように、きちんとFromアドレスを設定することをおすすめします。たかがFromアドレス、されどFromアドレス、細やかな気遣いがメルマガの効果アップにも一役買ってくれるはずです。
Reply-to(返信先メールアドレス
一般的にメールソフトで返信ボタンを押せば、差出人メールアドレスに返信することになります。けれど、メルマガの場合、差出人は営業部、問い合わせ先はサポートセンターなど使い分けたい場合もでてくるでしょう。その際に利用できるのがReply-to(返信先メールアドレス)です。ユーザーからの返信メールを受け取りたいメールアドレスがFromアドレスと異なる場合は、きちんと設定しておきましょう。特にFromアドレスを送信専用のメールアドレスで設定している場合、ユーザーからのメールを受け取れないなどトラブルの元にもなりかねないので注意が必要です。
件名
メールマーケティングに携わって日の浅い方でも、件名の良し悪しが開封率に大きく影響することは、容易に想像しやすいでしょう。ABテストを実施したり、いかにユーザーの受信ボックスの中で目立つことができるかを考えたり、日々改善を重ねている方も多いかもしれませんね。
そこで今回は、ちょっと視点を変えて件名を考える際の一つのポイントをお教えします。
それが、先にも登場した「Fromアドレス」です。何だ!件名の話じゃないのか、と思わずに聞いてください。
例えば件名をチーターデジタルからのお知らせ!HTMLメール専用CMS Lynxがバージョンアップしました!」としたとしましょう。すると、あるユーザーのメール受信ボックスでは次のように表示されます。
From:チーターデジタル株式会社
Subject:チーターデジタルからのお知らせ…
いかがでしょう?「チーターデジタルからのお知らせ」ということは十分に伝わってきますね。でも、肝心の中身がわかりません。
これは一例ですが、一般的にメールの件名としては、全角18文字以内に訴求したい内容を入れるのがおすすめです。なぜなら、それ以降の文字は先の例のように、「…」で省略されるなど表示されない場合が多々あるからです。
さらに今回のポイントFromアドレスにも注目してみてください。「チーターデジタル株式会社」とありますので差出人が明確です。それに加えて件名が「チーターデジタルからの…」ではじまりますので、並べて見た場合に「チーターデジタル」がダブってしまいます。これでは非常にもったいない。
例えば、先ほどの例を修正してみましょう。
From:チーターデジタル株式会社
Subject:バージョンアップのお知らせ!HTML…
いかがでしょう?短い件名の表示枠の中でもメルマガの中身を明確に伝えることができるようになりました。ここが件名におけるFromアドレスのポイントです。Fromアドレスに企業名やサービス名を入れているならば、件名には必ずしもそれらを付ける必要がないということです。むしろ件名にはメルマガの中身を伝えるキャッチーなキーワードを盛りこむほうが効果的です。
ヘッダーエリア
ヘッダーエリアは、メルマガを開封した人が一番初めに目にする部分です。この部分には、ロゴやメルマガの名称、メニューバーなどを配置する場合が多いです。どこの誰が、どういう内容を配信しているのかを伝える重要なエリアです。誇張する必要はありませんが、「私はこういうものです」というメッセージを明確に伝えることが重要です。
コンテンツエリア
ここは読んで字のごとく、メルマガの内容の部分ですね。キャンペーンや新製品の紹介など訴求したいこと、詳細を自由に表現できるエリアです。けれど、自由がゆえに一番頭を悩ます部分かもしれませんね。
ポイントとしては、何を伝えたいか、目的は何かを明確にすることです。
例えば、登録完了や請求メールの場合は、メルマガの中だけで情報を明確に完結させる必要があります。またECサイトなどWebサイトへの誘導を目的としているならば、メルマガに記載する内容は最小限にして、ユーザーの興味を喚起し、クリックを促す必要があります。
いかにして目的を達成できるか。それはこのコンテンツエリアの設計に大きく関わってきます。
デザインのクオリティ、受信したユーザーとメッセージの関連性、その企業のブランド、世界観、テキスト形式が良いのか、HTML形式が良いのか、また自社のユーザーの特性に併せてPC向けが良いのか、モバイル向けが良いのかなど、さまざまな要素を掛け合わせ、企業側の一人よがりではなく、ユーザーにとって最適なメッセージを伝えることを意識することが重要です。
フッターエリア
ここには一般的に、企業名、発行者、問い合わせ先、著作権に関する文言などを入れる場合が多いです。書籍でいう奥付のようなものと考えると分かりやすいかもしれません。
ただ1点、メルマガの特徴として書籍と違う点があります。それが、メルマガの退会(配信停止)に関わるリンクや手続き方法を明記するという点です。「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」いわゆる特電法によって、広告・宣伝のメールを送信する際は、配信停止(オプトアウト)の運用が義務付けられているからです。いくら配信対象者を減らしたくないからといって、配信停止の方法を明示せずにメルマガを配信するのはNGなのです。
さて、いかがでしたでしょうか?メールマーケティングの担当になったものの、何から手をつけたらよいのか分からない…そんなとき、まずは、今回の基本構造のポイントをもとに自社のメルマガをチェックしてみてください。何かヒントが見つかるかもしれません。