導入事例 - 株式会社ワールド
アパレル大手ワールドが目指すデジタル戦略 ライフステージを超えた長期の絆をCCMPで構築

株式会社ワールドのデジタルマーケティング戦略を支えるツールの1つとして、同社は2014年にエクスペリアンジャパンのマーケティングオートメーション「Cross-Channel Marketing Platform(CCMP)」を採用。顧客とのエンゲージメントを高める多様なチャネル戦略の第一歩として、まず売上げ貢献度の高いメールマーケティングの施策に活用しています。

その目的や効果、今後の展望などについて、デジタルプラットフォーム戦略部 WEBプロモーションチームリーダーの森 幹之氏、同部 西川 恵氏、そして朝稲 努氏にお話をうかがいました。

株式会社ワールド 森 幹之氏、西川 恵氏、朝稲 努氏

(写真左より)森 幹之氏、西川 恵氏、朝稲 努氏

1:ワールドの事業概要についてお聞かせください

ワールドは1959年の創業以来、女性向けキャリアブランド「UNTITLED」、紳士服の「TAKEO KIKUCHI」など、幅広いファンを持つアパレルブランドを数多く創出している総合アパレル企業です。百貨店やショッピングセンターへの出店のほか、ブランド複合型の大型店舗や生活雑貨等を扱うライフスタイル提案型店舗など、リテールとしても積極的な事業展開を行ってきました。製造や物流における改革にもいち早く取り組み、海外との連携によるサプライチェーンマネジメントの確立によって、高いファッション感度を保ちつつ高品質な製品づくりを実現しています。そうした製品単体としての魅力はもちろん、ブランドを軸にしたコーディネートやライフスタイルの提案、ライフステージ別ニーズへの対応等、重層的な価値提供ができるのは、ワールドならではといえるでしょう。

2:アパレル市場を取り巻く昨今の環境変化を教えてください

アパレル業界は今まさに大きく変化しています。ファストファッションの隆盛や若者を中心とした価値観の変化により、一人当りの被服費が大幅に減少し、全体的な市場としてやや縮小傾向にあること。その一方で、お客様の趣味趣向が細分化し、頻繁なブランドシフトが発生していることもあげられます。新規顧客獲得が困難になる中で、いかにしてお客様へブランドの魅力を訴求し、エンゲージメントを高めながら継続してご利用していただけるかが、私たちにとって最優先で対応すべき変化と課題です。

また、リテールはもちろんメーカーもデジタルシフトが加速しており、デジタルテクノロジーを活用した顧客の囲い込みはますます激化しています。複数のブランドをマルチチャネルで展開しているワールドでも、この変化に対応し、全てのタッチポイントにおけるコミュニケーションの最適化を進めなくてはなりません。そうして始まったECの積極的な運用に対しては、かつて店舗側の売上げが落ちることを理由に不安視しているスタッフの姿も見られましたが、EC店長を任命するなどの意識改革につながる施策を取りました。今ではスタッフによるコーディネートやおすすめ情報等を共有し、「商品の価値を高める」「お客様との関係性をつくる」という観点から、ECと店舗が互いに協力してシナジー効果を得ようとする関係へと変化できているように感じます。

3:その変化の中で顕在化してきた課題を教えてください

ワールド 西川 恵氏

お客様とのコンタクトポイントやチャネルが多様化する中で、実店舗を中心として事業を展開してきたワールドにとってもデジタルマーケティングは重要な課題となりました。それにはECのお客様だけでなく、実店舗のお客様ともオンライン上でのエンゲージメントを構築することが重要なキーになると認識しています。

現在、ワールドの会員組織である「ワールド プレミアムクラブ」の登録者数は、順調に伸びていますが、店舗とECサイトの併売率は目標値には達しておらず、ほとんどのお客様は店舗での購買のみに留まっています。お客様一人ひとりのLTVを最大化していくためには、ECと店舗の連携をより深化させ、ワールドにしかできないデジタルマーケティングを推進することが不可欠になってくるでしょう。検索や広告の最適化を図って新規のお客様の流入に取り組むことも重要ですが、既存のお客様との関係強化にも等しく注力する必要があります。その施策にとって要となるのが、メール配信への課題改善でした。メールはプッシュツールとして特に売上げ貢献度が高かったものの、お客様に合わせた情報の最適化ができているとは言いがたい状況でもあったのです。そこで、これまで以上のハイレベルなアプローチを行うために、解決するべき大きな二つの課題が顕在化しました。

課題①~ブランドとチャネルの垣根を越えた顧客管理を行う~

「ワールド プレミアムクラブ」へご登録いただいたお客様は、各ブランドのメールマガジンに登録することでブランド毎の個別情報を受け取ることができます。多くのブランドを展開するワールドならではのサービスとして高いポテンシャルを持つチャネルですが、膨大な顧客リストの管理・連携は一筋縄ではいきませんでした。ECや店舗、ブランドによって会員登録の経路が異なるためにデータが複雑なものになってしまい、情報を一元化することが困難だったのです。そのため、情報を重複して配信してしまうことが一つの課題となっていました。

課題②~社内工数を削減し、お客様毎のタイミングにリアルタイムで対応できる環境を整える~

巨大な会員規模を誇る「ワールド プレミアムクラブ」では、メールを一度配信するだけでも膨大な時間と工数が必要でした。例えばリストを抽出するだけでも長い時間を要するため、月に2回ほどしか作業が行えず、また配信設定をするだけであっても、各部署を横断した設定のために必要以上の工数がかかっていました。そのため、例えば前回購買者を対象にしたメールを送る場合であっても、何カ月も前にご購入いただいたお客様に対して「先日はご購入ありがとうございます」などの文面を送ってしまうなど、コンテンツ配信タイミングの遅れが発生していることが問題でした。

4:課題を解決するCCMPを用いた施策のポイントを教えてください

手動でメールのコンテンツやタイミングの最適化を行うのは作業負荷が大きすぎるため現実的でなく、いかに社内工数を削減して効率的な配信を行うかが大きな課題となっていたことについて、ご理解いただけたと思います。そこでワールドでは、エクスペリアンジャパンのCCMPを活用した課題解決の方針を決定しました。

顧客情報に対する方針…チャネルやブランド別の顧客情報を一元化して、各ブランドの情報発信を一つのプラットフォームで管理することにより、情報の重複を防いでメッセージに一貫性を与える。

工数削減に対する方針…顧客の行動をシナリオ実行のトリガーにすることで、リストの抽出や配信期間の設定に必要な工数を大幅に削減し、各施策をタイムラグなく実行する。

これらをCCMP上で実現し、まずはコンテンツとタイミングの最適化を可能にするためのプラットフォーム環境を構築しました。その上で、お客様に最適なコンテンツや理想的なタイミングを見極めるため、次の3つの施策に対してABテストなどを繰り返しながら具体的な検証を行っています。

ワールド 森 幹之氏
施策①購買行動をフックにした「関係育成メール」と送信タイミングの最適化

会員向けのウェルカムプログラムとして、「プレミアムクラブ」に新規加入いただいた方に対して、関係育成を目的としたステップメールの自動配信を実施しています。加入いただいた際はすぐ①サンクスメールを送信し、1週間後に②おすすめ商品をお知らせする初回のメール、購買後に間を空けて③さらに売れ筋商品をお知らせする2回目のメールを送り、しばらく来訪および購買のないお客様には④店舗や商品のご案内で休眠フォローを行うメールを送信しています。特に2回目のお知らせメールのタイミングについては、初回購買からの設定期間を検討するために、仮設を立ててABテストを実施し、その結果に基づいてPDCAサイクルを回すなどの検証を実施している状況です。お客様によって個別の購買サイクルがあることも想定されるため、今後はそうした分析も強化していく予定です。

施策②店舗との連携による「シーズナルメール」のタイムラグ解消

シーズンイベントや新着情報などの情報を盛り込んだシーズナルメールも配信を自動化しています。シーズナルメールとは、会員登録をされているお客様に向けてシーズン毎にご購入のきっかけとなるような情報をお届けするメールのことで、大きく分けて年に2回、AW/SS(秋冬/春夏)の時節に合わせた配信を行っています。これまでの手動配信では、対象となるお客様情報の抽出や配信設定作業に時間がかかってしまうため、メールでのご案内が店舗展開から約1週間遅れるなどの大幅なタイムラグが発生する場合がありました。しかし現在は、CCMPの導入によって作業の効率化を進めた結果、店舗での商品展開とほぼ同時のタイミングで配信が行えるようになっています。タイムリーな情報発信がお客様の店舗への誘導につながり、AW/SSの販売機会をより効果的に活用できるようになりました。

施策③トランザクションを起点とした「背中を押すメール」の配信

購買直後の「サンキューメール」のほか、お気に入りに入れたまま商品が放置されている場合には「在庫僅少のお知らせ」や「セール価格のお知らせ」を送るなど、トランザクションをトリガーとしたメール配信を行っています。他にも「送料無料」や「割引クーポン」など、再誘導を目的としたメールも配信していますが、効果的なカンフル剤になることがあっても、頻度が多すぎるとそれが当たり前になり、逆効果になる可能性もあります。同一の販促費を掛けるにしても、お客様に一番喜んでいただけるものは何か、再誘導には何が一番効果的なのか、試行錯誤を重ねながら最適化を図っています。

まだCCMPを導入して間もないこともあり、これら3つの施策も含め、トライアルアンドエラーを繰り返しています。とはいえ、このテストサイクルが格段に速くなったのもCCMPの大きなメリットの1つと言えます。リストの抽出も早く、配信も結果分析も速いので、施策を実施する前にはかなりの頻度でテストを行うようになりました。

5:エクスペリアンのCCMPを選んだ理由を教えてください

ワールド 朝稲 努氏

選定では、様々なツールや複数の提案の中から検討しています。検討に際しては機能ではなく、「ワールドとして実現したいこと」を十分に満たせるかどうかを第一の要件として考えました。私たちが目指すデジタルマーケティングは、最適化されて自動配信されるメールであっても、店舗スタッフが書く「サンキューレター」に象徴されるような、お客様にアナログな人の温かさを与えられる施策にしたいと思っています。そうした意味で、エクスペリアンジャパン社にはパートナーとしての熱意を感じ、協力していただけるのではないかと感じました。その期待感に加えて、次のような4項目を優先的な要件としました。

選定理由①直感的に作業できる「操作性の高さ」

実際の業務に当たる人間が、必ずしもITリテラシーが高いとは限りません。トレーニング不要で、直感的な操作でスムーズに作業ができることは必須条件でした。CCMPはメール作成・発送時のUIはもちろん、レポートについての見やすさ、わかりやすさも大変魅力的でした。

選定理由②既存リソースに手を加えずにデータ連携ができること

当社の顧客データベースが大変複雑ということもあり、多くのツールでは専用にデータを作り直す作業が必要でした。しかし、それでは手間やコストがかかり、施策開始までに長い時間がかかります。一方、CCMPはデータを作り直す必要がなく、ASP的に簡単な連携が可能だったため、コストも時間もかなり圧縮することができました。

選定理由③高い実績があり、デジタルマーケティングのノウハウが潤沢

ツールベンダーと他社パートナー企業との連携による提案が多い中、一社でツール提供から要件定義、設計・実装、運用支援までも一貫して提供いただけることに安心感がありました。また導入事例も多く、生きたアドバイスをいただけるのではないかという期待もありました。実際、テスト時から様々なヒントやアドバイスをいただくことができて助かっています。

選定理由④開始時の手厚いサポートとリーズナブルな費用体系

手厚いサポートをアピールポイントにしている会社も少なくありませんが、多くはそのコストが月額のランニングコストに含まれていました。一方エクスペリアンジャパン社は導入前後のサポートは手厚いものの、その後は必要に応じて依頼する形式のため、操作に慣れた後は社内でコントロールすることを想定していた私たちには、費用的な納得感がありました。

6:今後の展望を教えてください

本格的な稼働開始から間もないため、まずはトライアルアンドエラーを繰り返しながら、メールの最適化を実現することが近々の目標です。将来的にはそこで得たナレッジや情報を、店舗やアプリ、ECサイト、コールセンターなどのクロスチャネルで活用していきたいと考えています。
同時に、ECと店舗の連携をさらに深めていく必要があると言えます。店舗に来られたお客様をオンラインに流す方向に偏りがちだったこれまでの発想を広げ、オンラインで得られるエンゲージメントを活かして情報提供を最適化し、実店舗での購買へとつなげるような、双方向の連携で生まれるシナジー効果を最大化していきたいと考えています。そうした取り組みを経て、このような展開が本来のコンセプトであるCCMPでの効率化を図りながら、いずれは総合的なCRMへと発展させていく計画です。

ワールドとしての目標は、お客様と長期にわたる関係構築を意識しながらコミュニケーションを図っていくことにあります。多彩なブランドを展開するワールドは、お客様のライフステージの変化に合わせてお選びいただける選択肢を多く持っているとも言えるのです。一人ひとりに最適なコンテンツを提供し続けることで、お客様との関係をいっそう息の長いものにできれば、既存のお客様とも新しいコミュニケーションが生まれるはずです。個々のブランドではないワールドという会社を長く愛用していただけるように、今後も活動していきたいと思っています。

株式会社ワールド
株式会社ワールド

日本屈指の総合アパレル企業として知られ、数多くの人気ブランドを擁する株式会社ワールド。各ブランドショップをはじめとして日本全国に2,500以上の 多彩な店舗を展開し、顧客登録者数は2,000万人以上にも上ります。現在、同社が注力しているのは、顧客とのエンゲージメントをより深めるためのデジタルマーケティング戦略です。長年にわたって培ってきた伝統的な「店舗の集客・接客の強さ」を活かしながら、新たな販売チャネルの確立・拡充を目標に邁進し ています。

※本事例の内容は全てインタビュー当時のものであり、現在と異なる場合があります。