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マーケティングコラム

第1回:田園調布に家が建つ ~「Experian Mosaic」の概念理解

今では死語になってしまったのかもしれないが、小さい頃、「田園調布に家が建つ」という言葉を時々聞いた。振り返るとそれはギャグだったらしいが、高級住宅街=田園調布というイメージは、地方都市で育った私には心に残った。上京してから、さっそく田園調布とはどういうところか見に行った。

「これが本当の高級住宅街か。」駅を中心として放射状に美しく計画された道路が展開され、整然とした並木道に大きな外車が走り、そこにステンドグラスがある瀟洒な洋館や大きな庭のある由緒正しい和式建築の家が、大きな区画にそれぞれの存在感と個性を持って並んでいる。家を囲う壁や門扉の高さで中が見えず、外界との交流を限定的なものとしている。犬の散歩をする住民の方々は気品があり、連れている犬まで上品であるように思える。

自然と、その人たちの暮らしぶりやプロファイルとはいかばかりであろうかと考える。著名なプロスポーツ選手、俳優、自力で会社を立ち上げたオーナー社長。人生の成功者という言葉が浮かんでくる。このあたりに住んでいる方々は、50代以上でかなりの所得があり、高級ブランドやレジャーなど活発な消費を行っている人なのではないだろうか。また、きっと港区や芦屋市の山の手エリアのようなところにも、同じようなライフスタイルをもった人々がいるのではないだろうか・・・

そのような、居住地による住民の"暮らしぶり・ライフスタイル"を、国勢調査や各種マーケティングデータを元に、マーケティング施策に使えるようデータ化したものが「Experian Mosaic」である。

田園調布の例は分かりやすくするためにやや典型的な取り上げ方をしたが、高級住宅街のほかにも、ニュータウン、学生街、工場地帯、農村地帯、漁師町、団地エリア、地方都市といったようなエリアでの、人々の"暮らしぶり・ライフスタイル"は似通ったものになるのは感覚的にお分かりいただけるだろう。Mosaicでは、こうした考え方をもとにして、日本全国にある約22万の・・・市・・・○丁目という”町丁目”または”郵便番号”単位で、その町丁目・郵便番号別の住民の"暮らしぶり・ライフスタイル"を14パターンに類型化したものである。

Experian Mosaicコラム vol.1

日本全国にある約22万の町丁目に14のライフスタイルラベル(Mosaic Group)がつけられているので、商品Xのこれからのターゲット顧客層はレイトマジョリティだ、と考えると、レイトマジョリティに近いライフスタイルを持つ人たちが、

  • ・Mosaicのどのパターンとどのパターンに適合し
  • ・日本のどこに
  • ・何人いて
  • ・マスメディアや新聞などのオールドメディアを中心にアプローチしたほうがよい

というセグメンテーションができ、実際の施策を平易にうつことができるようになるのである。

また、Mosaicは14のライフスタイルラベルを、さらに52(Mosaic Type)または220(Mosaic Segmentation)に細かく階層化しているため、細かなセグメンテーションも可能である。

「Experian Mosaic 4つの使い方」

Mosaicには、主に4つの使い方がある。

  • 1.顧客分析
  • 2.新規顧客獲得・広告
  • 3.顧客育成・CRM
  • 4.エリア施策

Mosaicを活用するためには、まず1.分析を行う必要がある。一般的には、まず自社の顧客データ(Mosaicとの紐付けのためには顧客の住所データまたは郵便番号が必要)とMosaicデータをぶつけてみることから始める。

すると

  • ・自社の既存顧客で優良顧客層または非優良顧客層は、どのようなライフスタイルを持っているのか
  • ・商品XとYにおいて、リピート顧客/購入顧客/離反顧客はどのようなライフスタイルを持っている人が多い/少ないのか。その変化はどうか

といった"暮らしぶり・ライフスタイル"という観点を軸にした自社データがまず把握できる。

そこからさらに、ダイレクトマーケティングに強い企業であれば、RFM分析やスコアリングといったデータとクロス分析をして、より精緻なターゲティングをすることもできる。 また、Mosaicを第三者データとして、顧客DBの中に格納して、居住地データが分かり次第、自動的に紐付けをするということも行われている。

1の分析をモトにして2~4の施策につなげ、効果検証・分析に戻るというサイクルを回すことが、Mosaicを使った施策の全体像になる。

Mosaicを活用したマーケティング全体像

2.新規顧客獲得・広告において有効性が高く、よく使われているのは、チラシ配布エリアの選定である。チラシの配布を行う場合は、まず予算の上限があり、どこに撒くかを検討するが、経験者の勘や過去実績に頼っていることも少なくない。仮説検証型のチラシ配布エリアの優先順位付けにMosaicが使われる。Mosaicではライフスタイルが見えるので、チラシの内容をその住民特性に合わせていくことが可能で、配布枚数と合わせて考えることによって施策全体の効果をあげていくことができる。

また、Mosaicと相性が良い新規獲得の紙媒体としては、日本郵便の「タウンプラス」がある。タウンプラスは、

  • ・顧客リストが不要
  • ・地域(郵便番号や町丁目)限定でDM発送
  • ・日本郵便ならではの信頼性で到達率が高い

という強みを持っている。しかも、配布数も比較的少数から実行が可能なので、多額の予算が必要というわけではない。もちろん効率性の問題はあるが、試しで配布ということも取り扱いやすい媒体である。

http://www.post.japanpost.jp/service/town_plus.html

3.顧客育成・CRMにおいては、DMやコール(電話営業)におけるROI(投資対効果)の向上がテーマになることが多い。DMやコールは件数に比例した一定のコストがかかるチャネルであり、ここでもROIが取れる商品×ターゲットセグメンテーションの選定、ターゲットに合わせたクリエイティブやコールスクリプト、コストや人員リソース内での優先順位付けといったことが施策のキーポイントとなってくる。

DMやコールにおいても、セグメンテーションとは無関係に一斉に行われていることが少なくない。Mosaicを利用して、あまり細かすぎないライフスタイルセグメンテーションを作ることによって、ライフスタイルに合わせた施策の実施・メッセージ提供をしていくことによって、ROIの向上が実現できる。

4.エリア施策においては、出店や商圏分析・シミュレーションを行うことができる。また、そのデータをGIS(地図・地理情報システム)のうえにプロットすることによって、顧客のライフスタイル別の来店状況を見える化することもできる。

子供のいるファミリー層が多い店舗においては、店舗周辺にどれくらいのライフスタイル別の人口がいるかを把握でき、店舗の品揃えを調整するようなこともできる。また、同じような商圏を持った店舗を売上比較することによって、施策の巧拙を浮かび上がらせるようなこともできるだろう。

MosaicとGISを重ね合わせることによって、いろいろなインスピレーションが湧いてくるので、ぜひ活用をお勧めしたい。

「Experian Mosaic」大きな特長

Mosaicの大きな特長をいくつか挙げてみたい。

  • ・限定的データでも顧客ターゲット像(ペルソナ)を大まかにセグメンテーションできる
  • ・居住地データさえあれば活用できるので、自社のデータに当てやすい
  • ・ターゲット人口が分かる
  • ・想定しているペルソナからターゲットエリアを選定すること(逆引き)もできる

Mosaicを利用されるクライアントは、性別・年齢・居住地以外は情報を取っていないといった、「ベーシックな顧客属性だけが分かっているけど、それ以上の属性は持っていない」というケースが多い。そうした限られた保有データで戦わなければならない場合にも、属性に加えた"ペルソナ"を(仮説的に)浮かび上がらせ、大まかなセグメンテーションができるようになり、ターゲットに合わせた施策というものが俄然打ちやすくなるところが大きな特長である。また、セグメント別のターゲット人口が分かるので、現時点でのシェアや今後の伸びしろを仮説立てることもできるところも大きな特長だ。さらに、想定しているペルソナがすでにある場合は、そのペルソナにあったターゲットエリアを逆引きで選定することも可能だ。

Mosaicが得意なパターンとしては、

  • ・特長がある商材や高額品を取り扱っている
  • ・通販のように住所のみが分かっているがそれ以外のデータが無い
  • ・大まかな括りでのセグメンテーション施策を(取り急ぎ)実施したい

苦手なパターンとしては、

  • ・OneToOneや細かいセグメンテーション、非常に高い精度を求めている場合
  • ・日用雑貨・一般消費財など、対象商材購買とライフスタイルとの相関が薄い場合

といったことがあるといえる。

「Experian Mosaic」変幻自在なデータの魅力

ここまでに説明したように、Mosaicはいろいろなデータと絡み合い、時には分析や施策の軸(主役)になるデータに、時にはおまけ(端役)のデータにもなる多能工のような存在である。また、自社顧客データだけでなく、オープンデータと結びついたり、地図情報と結びついて視覚化されて目の前に現れたりもする。このように企業内や官公庁において、様々なところで使われる可能性を秘めた、とても変幻自在なデータであるところが、Mosaicの魅力である。

イギリスでは、居住地データと犯罪データの相関を認めて、警察官の配置などの犯罪抑止や、交通安全・治安維持などの公共政策でも用いられている。

http://www.marketinggate.jp/project/experian_mosaic/

また、ドコモインサイトマーケティング社におけるドコモの携帯電話の位置(居住地推定)情報とMosaicのエリアセグメンテーションを紐付けて、"どこに""どのような人が""いつ"来ているのかという大まかなデータ分析を行うことも可能になっている。位置情報との紐付けという意味でも大きな可能性を秘めている。

http://www.marketinggate.jp/project/mspatialreport/
(当然ながら個人情報の取り扱いは行っておらず統計的な処理のみを行っている)

これから我々も、いろいろなテーマでの活用シーンをご紹介・発信していく。ぜひ、この変幻自在な「Experian Mosaic」のあなたなりの新しい使い方を見つけ、マーケティング施策や公共施策に生かしていただきたいと考えている。

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